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第3回 公園がアートな空間に生まれ変わる日「アートパーク」

公園をより楽しく、有効につかってもらうために、公園との関わりの深い方々への取材を通して、皆さまに役立つ情報をお届けしたいと思います。

◆第3回は、前回に引き続き、千葉県松戸市にある聖徳大学児童学科准教授の大成哲雄氏のインタビュー記事の2回目です。2回目の今回は、平成26年7月6日(日)に開催された「アートパーク7」の活動についてお届けします。

いよいよ当日、スタッフマニュアルは常に見直しを

アートパーク開催当日は、朝8時頃から準備して搬入、3時に活動を終了し、午後4時頃までに完全撤収を目指します。スタッフは、学生、大学教員、大学事務局、行政、市民団体で総勢約120人です。

実施にあたり、たくさんの注意事項がありますので、スタッフマニュアルを作成し、情報を共有しています。マニュアルは作っておしまいではなく、毎年新たな注意点や気づきを見つけ修正します。

注意ポイントは季節がら熱中症対策と食中毒です。特に、熱中症対策としては、給水所を2カ所設けたり、1時間に1回「給水」の呼びかけ、事故が起きないために、徹底した対応を心がけています。

また、年々参加人数が増えているので、受付を手際よく対応するなど、マニュアルに反映させています。受付では、参加者の人数、子供はどこの幼稚園、小学校か、さらに写真撮影の不可の3つを聞きます。写真撮影の目的は、広報や研究資料、ブログ等の掲載として使わせてもらうことに了承してもらいます。その際、OK の子には緑、NGの子 はオレンジのモールを手首に巻いてもらいます。毎年、殆どの保護者から了解を得ています。

松戸市役所と市民団体の大きな力

アートパーク開催にあたっては、毎年、松戸市に申請し公園使用の許可を得て実施しています。1回目は遊具を中心としたエリアで活動してきましたが、2回目からは公園全体を使っての活動になりました。どちらかと言えばわりと自由に公園を使わせてもらっています。

アートパークの活動には、学生や教職員のほか、松戸市政策推進課、文化観光課、公園緑地課、教育委員会、地域の保育所、子育てのNPO団体や市民ボランティアの方といった多く市民団体の方々の協力も得て活動しています。

アートパークの呼びかけは、市の広報誌への掲載や教育委員会を通して小学校へのチラシ配布など、役所の協力が何よりも大きいと感じています。

また、実行委員である保育所、ボランティアグループ、NPO団体の皆さんもアートパークの企画会議から参加してもらい、大学と地域が一緒になり、それぞれの得意分野を生かしたワークショップを企画していきます。

市民団体方々や市役所の担当者は、荷物の運搬や子供たちの手や体に付いた絵具を洗うための水をタンクに積んで運んでもらうなど、企画から準備、開催当日まで、活動には欠かせない仲間です。

市の職員や市民団体の方々、保育所とは、アートパークの活動の他に、年間を通じて市内のアートラインプロジェクト「暮らしの芸術都市」でもかかわりがあります。

「木陰」の心地よさを実感、自然の空間を生かす

アートパークは、午前10時から午後3時までで、天候によってはかなり気温が高い場合があります。日の当たる場所は当然厳しい暑さですが、木陰に入ると意外と涼しく一日あそべることが分かってきました。松戸中央公園は木々が多く、各ワークショップも場所を生かした活動を行っています。公園管理者の方には、木陰の魅力を生かした公園整備を行ってほしいと思っています。

今年もNPO の子育て支援団体が、板を組みあわせて遊ぶ「カプラ」のワークショップを実施しました。遊び場ともつながるよう木の下に蚊帳(かや)を吊り、涼しさや空間を演出しました。その蚊帳は乳幼児やお母さんのための休憩所にもなります。子育てのプロ集団ならではの発想です。

蚊帳は、自然豊かな公園にとても似合っていました。

学生や市民が主体となって実施するワークショップということもあり、なるべく予算をかけず公園の場所を生かした企画を行うことを大事にしています。

毎年参加している親子は、すでに公園のつくりを理解しています。木陰の芝生にシートを敷き、お昼にお弁当を食べたり、お父さんが昼寝をしたりなど、ピクニック気分で1日楽しむスタイルが見られるようになりました。

地図ではあえて誘導しない

開催当日、アートパークの案内地図は基本的に受付にパネルを1枚置くだけです。大人が誘導したり、各々が地図をもって移動するのではなく、子供たちが遊びたいワークショップを自分で見つけて足を運んでくれるとよいと思っています。ゴミを極力出さないという意味もありますが、自分のやりたいワークショップに出会う楽しみや、面白いものを発見するセンスを育むことも重要だと思っています。

アートパークは、言葉が適切かどうかは分かりませんが“多少の不親切”があっても良いと思っています。それは、私達はきっかけを作っているのであって、全てをコントロールし、提供することは参加者にとって必ずしもプラスとは思っていないからです。参加者もアートパークの時間は一緒に活動を作って行く仲間であり、単なるお客さんにならないというのが理想です。

公園の中を探してみると、我々が企画していないもので遊んでいる子供たちもいます。それは近頃公園ではあまり見かけなくなった木登りです。

松戸中央公園には、11本の枝振りを見ただけでそそられる木があります。私達は「子どものなる木」と呼んでいます。

この木登りしている姿がアートパークでは毎年恒例になりました。

大人も楽しむこと、それがアートパーク

昨年(2013)6回目のサブタイトルは、「みんなこども宣言」でした。このタイトルは、大人がどれだけ子供のようになれるか、子供と一緒に遊ぶことによってあそびの重要さを発見、理解してほしいという思いから名付けました。

アートパークは、実は子供だけが主役のイベントではありません。私達、大人や学生も主役になる時間があるとよいと思っています。一つには、学生や保護者も思いっきりあそんでみることで子どものあそびについて理解を深められると考えているからです。また、なるべく子供たちに対して一方的に遊びの強要はせず、学生や大人が面白そうに遊んでいることで、子供たちにもあそびが広がっていくと思っているからです。

そして、今年開催された7回目のアートパークのテーマは「みんなゲイジュツ化宣言」です。

私のゼミでのワークショップは「きのこロボット」を企画しました。子供たちはロボットのまわりに段ボールを積み上げたり、ペイントをして遊びます。ワークショップの内容は、学生たちとディスカッションやワークをしながら作り上げていきます。

今年は、企画会議のワークで、空き箱で「きのこ」を作ったグループと「ロボット」を作ったグループがあったので、これらを一緒にすることで「きのこロボット」という造語が生まれました。この言葉が気に入った響きであったこともあり、言葉からイメージを広げプロジェクトをスタートすることにしました。松戸中央公園の地下には謎のロボット工場があり、地上に生えているキノコと合体し、ロボットが誕生したという設定もつくりました。今回は、現実の公園をファンタジーの視点で捉えることで、いつもと違ったよりアートな空間(=ゲイジュツ化)に作り変えられると考えました。

これまでのアートパークの活動はブログで記録しています。アートパークは授業でありアートプロジェクトでもあるので、過程も含めての活動です。開催当日だけではなく企画から準備期間、終了後にも重点を置いて記録しています。

原動力は“もっと新しいこと”への挑戦

ブログを見て、自分の地域でもやってみたい!という気持ちをもって活動してくれる人がいたらうれしいですね。私たちは「アートパーク」そのものをパッケージ化するつもりはありません。それは、松戸中央公園という場所にこだわっている為です。子ども達が安心していつでもあそべる場所になれば、一つのミッションを終える事にはなりますが、いつまで続けるかはわかりません。継続させるためにエネルギーを使うのではなく、結果的に継続していることに意義があると思っています。私達は常に柔軟な考えを持って取り組めるよう考えています。アートパークは毎回少しずつではありますが変化、成長していると思います。

アートパークの助成金は2回目までで、以降は大学の二つの研究所から予算をいただいています。助成が切れたら終了となる活動が多いのですが、大学から支援、継続させてもらっています。

ここまで継続してこられた理由の一つとして、これが完成、答えというものがないというのがあげられるかもしれません。また、毎回多くの子ども達や保護者から是非次回もやって下さいとリクエストがあれば、それに答えたいとも思っています。「公園、子ども、あそび、教育、まちづくり」といったキーワードを手がかりに次回は“もっと新しいもの”ができるのではないかと、みんなで模索することが継続のエネルギー源になっているのかも知れません。

■聖徳大学(千葉県松戸市岩瀬550)
聖徳太子の「和」の精神を建学の理念として掲げ、創立以来「人間教育」という一本の大きな柱を守りながら、幼児教育を核として、女性の教育を行なっている。

■大成哲雄(おおなり・てつお)氏プロフィール
聖徳大学 児童学科准教授
専門分野 美術教育

【主な論文】
「集まれ!アートパーク 公園改造計画」にみる、教員養成大学における「アートプロジェクト」の可能性
『「上鰕池名画館」におけるアートプロジェクトの波及性』
【主な展覧会】
大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ(2006、2009、2012)
中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス
松戸アートラインプロジェクトなど
【主な著書】
「図画工作 評価を生かした楽しい活動のアイデア」
「一億人の図工・美術」
「ひと×まちからの創造」
「新 美術 表現と鑑賞」
「これからの教科教育 図画工作科・美術科」
「実践事例にみる ひと・まちづくり グローカル・コミュニティの時代」
「美術教育の題材開発」

■関連サイト・関連情報
聖徳大学 http://www.seitoku.jp/
アートパークプロジェクトブログ http://artpark.exblog.jp/
せいとくアートランダム http://seitokubi.exblog.jp/
松戸まちづくり会議 暮らしの芸術都市 http://matsudo-artline.com/

※文中に出てくる所属、肩書等は、取材時のものです。2014年10月掲載

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過去記事一覧
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ
17 震災後、市民の手によって再生された西公園
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル
15 市民がつくり、見守る広場
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」
09 トンボの魅力を子供たちに伝える
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続
01 自然環境は、利用しながら保全する


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