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第2回 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続

公園をより楽しく、有効につかってもらうために、公園との関わりの深い方々への取材を通して、皆さまに役立つ情報をお届けしたいと思います。

◆第2回は、千葉県松戸市にある聖徳大学児童学科准教授の大成哲雄氏のインタビュー記事を2回シリーズでお届けします。聖徳大学では、2008年から大学に隣接する松戸中央公園で、地域の子供たちを対象に、地域と協力し学生が考えたワークショップを行う「アートパークプロジェクト(以下アートパーク)」を行っています。プロジェクトの担当教員である大成先生に、実施の経緯からこれまでの活動について話を伺いました。1回目の今回は「アートパーク」の実施の経緯についてです。


子供が少なく閑散としていた公園

聖徳大学は保育園、幼稚園、小学校をはじめとする教員養成、保育士養成、管理栄養士養成などを行う総合女子大学です。
アートパークは、文部科学省の社会連携事業の一環として「地域・若者交流」および「学生の社会参画力育成」をテーマに実施したのがはじまりです。大学の向かいにある松戸中央公園で、地域の子供たちを対象に、地域の様々な団体と協力し、授業で学生が考えたワークショップを実施しています。2008年から児童学科と生涯教育文化学科が、10年からは短大も加わったプロジェクトで、今年で7年目を迎えました。
ワークショップの会場は、大学に隣接する松戸中央公園です。

松戸中央公園は目と鼻の先ほどの距離でありながら、これまで学生も教職員もあまり関心を示さない場所でした。初めて公園を見に行くと、子供の姿は少なく閑散としていました。どちらかと言えば、暗い雰囲気が漂っていました。
地域住民の方から話しを聞くと、昔は子供たちがたくさん遊んでいたようです。今の時代の影響なのでしょうか。
公園は子供たちにとって遊びの場であり、学びの場であることがあるべき姿の一つだと思いますが現状は違いました。閑散としている公園は、松戸中央公園だけの問題ではないのかも知れません。今の公園が抱える課題は、地域が抱える課題であり、日本全体の公園の課題でもあると思います。
私達はアートパークを実施することによって、子供たちが公園でかつてのように自由に遊び、活気が取り戻せないかと考えました。

今、大学の在り方は大きく変化しています。これまでの教育と研究に加え、地域貢献というミッションが新たに加わりました。どの大学も、今、さまざまな取り組みを模索しています。そんな状況のなか、本学の学生は授業で学んだことをそのまま地域と子供たちに還元できるので、非常に大きな強みだと感じています。

アートパークを実施するに当たり、私はゼミの学生と沢山のビニール傘を持って公園にでかけたことがあります。ワークとして傘と場所、そこに集う人たちと自由にかかわってみる活動を試みました。1人の学生が傘をどんどんつなげると球体ができあがりました。たまたま保護者と公園で遊んでいた子供たちがかけよってきて、「一緒に遊びたい!」と参加してきました。

傘のボールで玉転がしのような遊びがはじまると、公園に遊びに来ていた子供達が更に興味を示し、集まってきました。子供たちが遊びに熱中している時の行動や発する言葉には大変興味があります。このときの活動は、全身を使った遊び(造形あそび)と同時に色や形にも興味をしめす鑑賞活動にも発展していきました。

公園という「場所」×ビニール傘「もの」×子供と学生の「人」が出会う事で沢山の造形活動=遊びが生まれるのです。

こういった活動から、アートパーク本番ではある程度のシナリオは作成していても、その場にいる子供たちと自由にあそびを発展、変化させていくことが重要だとおもっています。何よりも子供の発想やひらめき、予想外の行動などは、大人には思いもつかないような遊びが生まれるきっかけになります。大人や学生から一方的にあそびを提供されるのではなく、子供たちと一緒に考え、あそびを変化させることを楽しめると良いとおもっています。そもそもワークショップとはそういった手法であり、そこを理解したうえで毎回企画をたてています。

いつも間にか、大勢の子供が集まってきた

「公園改造計画」がスタート

アートパークは、2008年7月。児童学科の造形ゼミ(大成ゼミ)と「大学の地域交流と社会貢献演習」の授業の一環と連動させたかたちではじめました。第1回目は「集まれ!アートパーク 公園改造計画」のタイトルで実施し、約80人の親子が参加してくれました。

副題の「公園改造計画」は、公園の空間や遊具をもとに、何か違う遊びができないか、いつもと違う公園にできないかという発想からつけましたです。

「絵の具を使った造形あそび」を中心に6つのワークショップを展開しました。全身で絵を描くアクションペインティング、木と木の間に張ったビニールに絵を描く、滑り台をゾウさんに変えてしまうなど、子供たちは普段はできない絵の具遊びを自由に体験しました。アートパークによって、公園がアートな空間として生まれ変わった1日でした。

以降、毎年7月に開催して今年で7回目になります。参加者の多くは幼児や、小学校低学年の子供です。年々、リピーターも増え、松戸市全域、隣の柏市や市川市からも親子が来場してくれるようになりました。アートパークの効果かははかれませんが、地域の方から、「公園で普段遊ぶ子供が増えた」と言っていただくようになりました。

これまで開催されたアートパークのテーマタイトルと参加人数



◆公園での活動に賛否両論
公園でアートパークを行う事に対して、当初は「何か問題が起きたらどうするのか」といった慎重論の声が一部ありました。キャンパス内で行う学園祭等は比較的守られた環境にありますが、公園は学外です。しかも対象が子供となればリスクが大きいという訳です。しかし、いずれ社会や地域に保育園や幼稚園、小学校の先生として出て行く学生達です。地域の課題に目を向け、その時々のハプニングとどう向き合い克服するか、課題解決の学習としてアートパークは貴重な学びの場になると考え、公園での実地を決めました。

アートパークを通して成長する学生

アートパークにかかわるのは学内からは主に「3年次ゼミ」受講生や、短大、美術部の学生達です。一度参加し、経験した3年生は4年生になると全体のサポートする役割にまわります。

過去のアートパークに参加した学生が卒業後、保育士や、小学校の先生になり、今度はアートパークを手伝う側にまわり在学生をサポートしてくれることも毎年のこととなりました。

アートパークが終了後、学生からの感想で最も多いのが、「やり遂げた達成感と充実感」です。さらにアートパークをきかっけに多くの友達ができたという学生もいます。 学生たちは、アートパークを通じて大勢の子供や保護者とかかわります。教育実習では学べない自然の中での子供との触れ合い、保護者との会話は実に貴重な体験になっているようです。

参加した学生にきくと、学生が提供する遊びに対し、子供の発想から別の遊びが生まれた時に“子供はすごい!”と実感したそうです。学生が企画から当日までアートパークで経験したすべてが、成長につながっていると思います。

※文中に出てくる所属、肩書等は、取材時のものです。2014年9月掲載
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過去記事一覧
21 市民の手によって「つくり続ける公園」
20 下町に残る、手つかずの自然を守り、育てる
19 絵本、ケルナー広場を通して、子供たちの成長を見守る
18 生かされていることを実感 自然と一体になれるサップヨガ
17 震災後、市民の手によって再生された西公園
16 住民の心をつないだ3万個のキャンドル
15 市民がつくり、見守る広場
14 満月BARで公園の非日常を楽しむ
13 わらアートで、地域に笑顔と一体感を
12 再生物語を支えるボランティア組織「MEG」
11 公園が図書館に変わる「敷島。本の森」
10 公園に地域の人が集う「はじっこまつり」
09 トンボの魅力を子供たちに伝える
08 「朝市」で公園がコミュニケーションの場に
07 「スポーツ鬼ごっこ」を通じて 子供たちの居場所づくりを実現
06 高齢者、障がい者に公園案内 ボランティア側も癒される
05 仲間と共に成長してきたみはまプレーパーク
04 地域で子供たちを育成・指導 地元の公園でイルミネーション作り
03 公園がアートな空間に生まれ変わる日 あそびの重要性を考える「アートパーク」
02 子供たちにワークショップで地域貢献 公園での活動は発見の連続
01 自然環境は、利用しながら保全する


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