施設整備と管理運営、ハード・ソフトの両面から、都立公園が持つ防災機能を充実させる仕事を担当。
地震、津波、川の氾濫等、地域特性等により、各自治体の防災や防災公園の整備方針や重点は異なるため、今回の公園Q&Aでは2015年9月から都内各戸に『東京防災』を配布するなど、防災に力を入れている東京都から、公園の持つ防災機能について、東京都を事例として回答いただきました。
震災発生時には、市街地で大規模な火災が発生する恐れがあります。このような火災やその他の危険から身を守る場所として、大規模な公園や緑地などが避難場所に指定されています。
大地震が発生し、揺れが収まったら、自分の周囲の状況を確認します。ラジオ・テレビからの情報や、公的機関からの避難指示を確認し、周囲に火災の危険がある時、近所の「一時集合場所」に避難します。一時集合場所は、家族や近所の人たちが集まって被害の状況を確認したり、集団で避難するための集合場所で、近所の小さな公園等が指定されていることがあります。そこで火災の危険が無くなるまで様子をみた後、自宅に戻るか、自宅が被害で生活できない場合は、小・中学校などに開設される「避難所」に避難します。火災の危険が大きく、一時集合場所も危ない時には、「避難場所」に直接避難することになっています。一時集合場所の場所や、避難の仕方は、区市町村がそれぞれで定めていますので、ホームページなどで確認されておくと安心ですね。
※避難の順序は、こちらをご参照ください。
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/bousai/1000029/1000316.html
東京都では、震災時に拡大する火災から住民の皆さんを安全に保護するため、公園や耐火建築物周囲の空地など、延焼火災が発生しない空地が面で広がる空間を避難場所に指定しており、「○○公園・■■大学一帯」のように表わされています。現在、都立の都市公園は81ありますが(2016年4月1日現在は、82)、この半数以上の公園の一部、もしくは全域が避難場所に指定されています。
避難場所の避難有効面積は、火災による輻射熱の影響を考えて、避難空間として適切な部分が対象となり、10ha以上の規模があることが望ましいとされています。都立公園には10haを超す面積があり、中心に広々として平坦な広場などがあることが多く、また水を多く含み、遮蔽効果が期待できる樹木が植栽されていることから、避難場所として有効に機能すると考えられます。
避難場所について、詳しくお知りになりたい方は、東京都都市整備局のホームページをご覧ください。
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/hinan/hinan01.htm
避難場所以外に主に次の3つの役割があります。
①大規模救出救助活動拠点
これは、災害時に自衛隊や、警察、災害派遣隊、緊急消防援助隊、その他の広域支援・救助部隊等が、被災者の救出をするための活動拠点となるもので、具体的には、ヘリポートやベースキャンプとして活用します。現在水元公園等、21の公園がこの候補地と位置付けられています。
②医療機関近接ヘリコプター緊急離着陸場候補地
都が指定する災害時に拠点となる病院への輸送のためのヘリ離発着場として使用するため、芝公園等16公園が指定されています。
③災害時臨時離着陸場候補地
災害時、上記の目的に限らず、人や物資の搬送など必要に応じて様々な目的で使用するため、日比谷公園等23公園が指定されています。
このほか、生活物資の集積・輸送の拠点、一時的ながれき集積所、応急仮設住宅の建設用地など、都立公園は、時間経過とともにさまざまな用途で利用されることが想定されています。